読売新聞社, 読売新聞朝刊, Nov 28, 2024 Newspaper, magazine
三島由紀夫(1925~70年)と、日本文学を世界に広めたドナルド・キーン(1922~2019年)の出会いから70年を記念する展覧会が、新宿区の学習院女子大で開かれている。来年、生誕100年となる三島が、小学校から高校まで通ったのが学習院だった。学生たちによる手作りの展示で、三島が学内機関誌に寄せた文章や、キーンの直筆原稿などを紹介している。(編集委員 森太)
■「無二の親友」
2人は1954年、銀座の歌舞伎座で初めて会った。三島は29歳。京都大留学中のキーンは32歳。日本と西洋の古典文学に深い造詣があった2人は、親友となった。
「私たちは会って話をするのが楽しかった」。キーンは自伝で三島についてそう記している。「それは文学についてのこともあれば、世界の情勢、あるいは共通の知人についてのこともあった」。交流は、三島が70年11月25日、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決するまで16年間にわたって途切れることなく続いた。
三島の 訃報ふほう に触れたキーンは、「私は無二の親友を失い、世界は偉大な作家を失った」と嘆いた。
■学生の手作り
展示は、学習院女子大の学生6人と大学院生1人の計7人が、学芸員課程の博物館実習として夏休み中から準備してきた。自分たちで下調べし、内容をまとめ、写真パネルなども手作りした。
三島が中等科時代から投稿を始め、高等科では編集長を務めた学内機関誌「輔仁会雑誌」は、7冊を実物やパネルで紹介。12歳の三島の作文を収めた159号(1937年)、13歳の時の小説「 酸模すかんぽう 」を収めた161号(38年)なども並ぶ。
学生たちが薦める三島作品も紹介している。女性に裏切られ続けた老作家と同性愛者の美青年が織りなす愛と 復讐ふくしゅう の長編小説「 禁色きんじき 」を挙げた4年生の佐藤あずささん(21)は「美しさを求める筆致であったり、 耽美たんび な思想であったり、三島さんの美に対する意識を強く感じました」と話した。
このほか、キーンが三島の思い出を日本語で書いた直筆原稿や、三島とキーンのパネル写真などが展示されている。
■30日イベント
30日には、キーンの養子の誠己さん(74)が、養父・キーンからみた三島について講演するほか、学生たちが自分の薦める三島作品を紹介し、その中から最もお薦めの一冊を選ぶビブリオバトルも開かれる。学生たちを指導した牧野 元紀もとのり 教授は「一般の人々だけでなく、学習院の教職員や学生たちにも新たな発見のある展示になったと思う」と話した。
展覧会は学習院女子大2号館文化交流ギャラリーで、12月20日まで開催。午前9時~午後4時半(土曜は正午)。日祝休館。入場無料。11月30日のイベントは前日までに申し込む。