宇都宮 由佳, 益本 仁雄
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan 54(12) 1031-1040 2003年12月15日
2002年6月,北タイの3地域(都市,農村,山村)において,児童・生徒(511名)に対し,身につけたい意識・価値観13項目について質問紙調査を実施し,地域・学年比較をおこなった.あわせて我が児童・生徒に身につけてほしい意識・価値観について都市と地方(98名)で実施し,1979年の結果と比較をし,それぞれ分析をおこなった.地域差は,低学年ほど大きく,高学年になるに従いなくなった.おそらく低学年では,地域の文化がそのまま反映されているが,高学年になると世代で共通する考え(常識,論理的な考え方,タイ市民としてより広い観点など)が反映しているものと考えられる.伝統的な価値観は,山村地域,低学年,地方の親で認められた.先進的な価値観は,都市,高学年,および都会の親で認められた.農村地域,中2は,これらの中間に位置した.また,児童・生徒は,個人主義的な意識・価値観が中心であるが,親はかれらに集団社会で必要な意識・価値観を身につけてほしいと考えていることがわかった.親の1979年と2002年の比較では,上位4項目の内容は同じであるが,順位に変化があった.「礼儀正しさ」は重視する率が顕著に減少し,「責任感」や「根気強さ」が大幅に増加し,意識や価値観が少しずつ変化しつつある.